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■会長方針
温故知信
ロータリーに日本の心を
2009〜2010年度
会長 中島喜代一
入会以来25年が過ぎました。これまでの人生の三分の一以上の時間をこの京都南ロータリークラブと共有したことになります。この間、クラブでは実に多くの尊敬する人々と出会い、さまざまな経験をさせてもらいました。このクラブで培った人間関係は、私にとっては何物にも代えがたい大きな宝です。
日々の新聞の社会面を開く時、かつてあった日本人の精神性は一体どこに消えたのかと思います。社会の規範や、あるべき方向を考えるとき、ともすれば欧米諸国の例を引いて説明しようとする傾向があります。しかしなぜそんな必要があるでしょう。日本には日本独自の文化があり、日本独自の価値観、責任感、道徳観があり、欧米のそれらに比して劣るものではありませんでした。人々の間の信頼感も、なまじの書付よりは武士の一言のほうに信頼があったと言われるぐらいだったのです。日本人の持つ精神性は、欧米のそれとも、また中国のそれとも異なるものの、欧米人の称賛の的であり、もっと誇ってよいものでした。
今、日本の社会は食の安全性をはじめ、公務員の不祥事等々多くの不信感に満ちています。このままでは日本の存在そのものさえ危うく感じられます。
このようなとき、会員相互の信頼に裏づけられたロータリークラブの存在は、日本の社会にとって大きな救いと思います。
日本の歴史が奥深い文化と精神性を築きあげてきたように、わが京都南ロータリークラブも半世紀にわたる信頼の歴史を刻んできました。私たちはRIの一員ではありますが、RIの下部機関でもなければ出先機関でもないことは、歴代パスト会長が強調されたとおりです。日本人の高い精神性が歴史の中で見出されるように、クラブの運営のありかたについてもこの半世紀の歴史の中に、その指針が見出されるに違いありません。まさに「故きを温ねて新しきを知れば、以って師となるべし」
ロータリークラブの神髄は会員相互の信頼関係にこそあると思います。日本の社会に相互の信頼関係を取り戻してほしい願いを込めて、温故知新の新に「信」をもってあて、これを年間のクラブ運営の指針にしたいと思います。京都南RCの歴史を思い起こし、先人たちがいかにしてこの魅力あるクラブを構築してこられたかを学び、貧しくではあっても心豊かであった日本人の深い精神性を取り戻す、大河の一滴になればと思います。
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2009年〜2010年 運営方針
例会はクラブ運営の基本です。ロータリーの原点であり、100年前から続いている不易の部分の一つです。会員相互のコミュニケーションの場として、対外的なクラブの顔として、しっかりした背骨を通し、メリハリの利いた例会の運営をしたいと思います。
京都南RCの最大の特徴のひとつとして、会員数の多いことが挙げられます。
2650地区最大のクラブとしてさまざまな意味で注目されています。最大会員数の維持は地区内の多くのクラブの指針ともなり、大きな勇気を与えていると思います。増強については多角的に検討することにより、現状以上の会員数を維持していきたいと思います。
会員にとり、週報、月報は大切な情報源です。会員数が多いため不足しがちな会員間のコミュニケーションを、この両紙で補いたいと思います。事実の報告や通知だけでなく、会員の意見発表の場としても活用できればと思います。
広報は対外広報についても責務を負っています。奉仕プロジェクトの事業計画に積極的にかかわってもらうことにより、社会のニーズを事業に反映させ、ロータリークラブの存在意義を、より効果的に社会に訴えていきたいと思います。また、地区の助けを借りて一般のマスコミへの道も開きたいと思います。
会員相互の交流、親睦促進はロータリークラブにとって常に最大の課題の一つです。歴代親睦活動委員長の熱意とともに、わが京都南RCにおいては、多くの同好会がこれを支えてきたと思います。私たちの同好会については、巷間遊びの会として、よくは言われなかったことが多いように思われますが、私は数の多いこの同好会の存在こそが、これまでのわがクラブの会員間の親睦、交流を促進し、理解をはかるための大きな要因になってきたと思います。私は、むしろ積極的にこれを評価し、活用し、ガバナーの「育てよう、人。」のターゲットにこたえていきたいと思います。
新会員へのインフォメーションについては、楽しさを加味し、より一層の効果をあげられるよう、見直しを図りたいと思います。また、姉妹クラブについては、特に国内クラブには負担を感じさせることなく、親睦の実を挙げることのできる、新しい方向を模索したいと思います。
四大奉仕はロータリーの綱領から来ています。綱領は現代ロータリークラブのいわば根幹です。聖書に「塩がもしその味を失えばなにをもって塩に代え得ようか、何の役にもたたずただ捨てられるだけ」というたとえが出てきます。四大奉仕はまさしくロータリーの塩です。四大奉仕のどれを欠いたとしても、ロータリーはその存在意義を失います。奉仕プロジェクトは綱領を具現化するための委員会です。綱領の意味を改めて認識してもらうと同時に、CLPに沿って、これまでの事業を再検討し、必要に応じて継続すべき事業とそうでないものを区分し、時代と社会のニーズに即した事業展開をしていきたいと思います。青少年、RACについても新しい可能性の有無を探りたいと思います。
ロータリー財団、米山奨学会はともに新しい局面を迎えているようです。財団はRIが運営のシステムの見直しを進め、たとえば補助金制度についても、地区の主体性を尊重した運営方法に切り替えようとしていますし、日本ロータリー財団の設立も近い将来果たされるように聞いています。また米山奨学生についても、勉学を終えた留学生をすぐに出身国に返すのではなく、日本の頭脳として活用すべきだという方向に変化しています。こうした試みは寄付をする人のモチベーションに大きく影響するように思います。寄付金集めと同時に、これらのシステムの変化について、会員諸兄に適切な情報を提供していきたいと思います。
かつて京都南RCは独善的で、自分のクラブのこと以外は考えていないと陰口を言われる時代がありました。しかし、この10年前後でクラブは大きく様変わりをしました。多くの先輩リーダーの努力で、エクステンションを果たし、増強を果たし、ガバナーを出し、地区への役員を送りだしてきました。いまや京都RCとともに、地区内クラブへの大きな影響力を持つクラブに変化しています。われわれが意識するしないにかかわらず、他のロータリークラブに与える影響についての責任もあるのです。会員への当然のサービスとともに、周辺ロータリークラブへ与える影響についても考慮に入れて行動しなければなりません。
ロータリークラブには変わらない哲学と、時代や社会に応じて自在に変化する運営や活動の柔軟性があります。ロータリークラブは確かにアメリカから来ました。しかし、ポール・ハリスの言葉にもロータリーの綱領にも、民族の主体性を否定する文言は存在しません。必ずしも、アメリカナイズされた考えに立つ必要はないのです。むしろ、私は、わたしたちが日本人であることを自覚して活動することこそが、相互の尊敬をはぐくみ、世界平和に寄与することになると信じています。
会員諸兄の御理解とご協力をよろしくお願いします。
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