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10月4日(土) |
14:00 |
建築家 安藤忠雄氏講演会『可能性を探る』「シルクホール」 |
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9月の、まだ暑さの残る昼下がり。阪急梅田駅の構内から外へ出ると、アスファルトに照りつける陽射しはまだ夏の名残を十分に残して照り返し、むせるような熱気があたりを包み、漂っている。芳野委員長と私は、ふきだす汗をぬぐいながら、駅から歩いて十分程度、豊崎というところにある安藤事務所に向かっていた。用件は10月4日に、社会奉仕委員会で実施する安藤先生の講演会の打ち合わせである。
事務所につき、通されたのは吹き抜けの建物の地下一階。そこでは安藤先生が原稿に向かって何か書き込みの最中だった。
必要以上に大きく思える声で出迎えてくださった先生は、打ち合わせの間、終始その声で話される。途中で入った電話に応対する声も同じ。そのエネルギーには驚かされた。
こちらが、仮題としてもっていった「自然との融和―循環型社会を目指して」を見るなり、「こりゃ、わかりにくいで。建築家の建築の話なんか、一般の人はききたがらへんし、おもろないで」と一蹴。
「いまの世の中、みんなが迷ってる。可能性の糸口を探してるんやな。そや、テーマは『可能性を探る』にしよう」
今回の演題が決まったくだりである。
2回の、京都新聞紙上での告知広告に反響は大きく、当日は700名を超える人々に集まっていただいた。老若男女、実に幅広い層からのご参加である。そして安藤先生の講演は、ご自分の建築と人生とのかかわりの中で、挑戦し、探り続け、見つけだしてきた可能性を、スライドを使ってさまざまに紹介されながら進んでいく。随所にユーモアをちりばめ、聞くものをひきつけてやまぬ、実に魅力的なものであった。そこには、聴衆を始め世の中の人々、特に若い人たちに対して、「可能性を探り続ける姿勢と努力と行動を忘れるな」という先生の熱意に満ちたメッセージが込められている、そう感じたのは私だけではないだろう。
今回の講演会が、ロータリーの活動として、混沌暗澹とした世情の中に一条の光明を見出すきっかけになればこれに勝る喜びはない。社会奉仕委員会 副委員長 米川安宜
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