■温かな時の流れ(11月19日 週報No.19) 父が一つの時計を遺した。Vulcain Grand Prix 1940年代製造のヴィンテージウォッチで、さほど高級なものではありません。御覧の通り、アナログのゼンマイ式で、父は生前「腹もゼンマイ巻くのも八分目、何事もほどほどが肝心」と言いながらこよなく愛用した懐中時計です。今なお八分目を守って、家族がゼンマイを巻くことを欠かさず、一度もオーバーホールしていませんが、年間2分程度の遅れで時を刻んでいます。
ハイテクでデジタル化された世にあって、耳を澄ませば「シャカ・シャカ」と音を立てて、父の懐中時計が刻む時の流れはこの上なく優しく温かい。「癒しの時」、家族の逸品です。